ルーティーと女メロウ
 漁夫のルーティーはある日、波打ち際を歩いて、岩に座り泣いている娘に気づく。よく見ると人魚で、潮が引いて海へ帰れない、困っていると言う。
 ルーティーは人魚を背負い、海に投げ込むと、人魚は喜び三つの願いを叶えようと言った。「魔法の呪文を破る力」「使役に役立つことをさせる力」「代々一家に力が伝わること」の願いは人魚に聞きとどけられる。
 人魚は自分を呼び出すときは、水面を割れ、と櫛を渡す。だがすべては、九年間の間と約束する。
 九年目の時、息子は医師となるが、ルーティーはある日ボートから海に飛び込み、人魚の許に行く。
ジャック・ドハティとクー・マラ爺さん
 アイルランド語でマーメイドをメロウと言う。女性は美しく、魚に似た尾と指に水かきがあり、嵐の前に現れる。性格は優しく、人間と恋に墜ちたりする。男性は醜く顔も体も緑で、赤いとがった鼻に豚のような目をしている。両方とも水に潜るときは、三角のとがった羽の赤い帽子「コホリン・ドリュー」をかぶる。
 漁夫のジャックは
、父の飲み友達のクー・マラと付き合っていた。ある時、海の底のクー・ラマの家で、棚に人間の魂の入った海老カゴが並んでいるのを見る。
 ジャックは魂を解放してやろうと決心し、クー・マラとポチーン酒(密輸酒)を飲み、酔いつぶし、寝ているすきに、海老カゴをひっくり返し、魂を自由にする。
井村君江 井村君江